旅の空色


上高地 帝国ホテル


 日本で有数の超一流ホテル・帝国ホテルの上高地宿泊施設。
最上級ランク評価の常連宿なので、一度は泊まってみたいと考えていた。
ちなみに東京と大阪の帝国ホテルは泊まったことはない
(というか、東京はもちろん大阪に泊まるような必要がまずない)。

宿ホームページ→(外部リンク)http://www.imperialhotel.co.jp/j/kamikochi/

[筆者評]
 夏の2泊3日の家族旅行で2泊目で利用。
1ベットルームスイート(72u)に宿泊。
伝統的ホテルらしく、室料と食事料金は別になっていて
今回の室料は約8万円(税込み)。

スイートの予約はネットではなく、電話のみの対応のようで
(貴賓室やスイートはこのパターンもよく見られる)、
2月1日10時からの今期予約受付開始とともに
電話を掛けまくったが全く通じずに、
(多分5月の連休を狙ったお客の予約が多いのだろう。
こんな経験は昔のチケットピアでの予約以来だ)
諦めかけていた15時頃にやっと電話が繋がった。
当初はこのホテルでは一番大きい部屋の
2ベットルームスイート(105u)を頼みたかったのだが、
あいにくすでに先約がいて、残念がっていたところ、
1ベットルームスイートの基本1〜2人定員の部屋でも
3人泊まれますという話になり、今回の利用となった。

入り口ドアを入ると右手に少し大きめのクローゼットがあり、
その奥が12畳ほどの部屋でリビングと簡単なキッチンとテーブルがある。
2辺に窓があって明るく、それぞれの窓の外には椅子と小テーブルのある
少し広めのベランダとなっている。
入り口左手にももうひと部屋あり、10畳ほどのツインのベットルームとなっている。
ここからもベランダに出られて、リビングの1辺と繋がっている。
そして左の廊下奥に1畳ほどの洗面所と3畳ほどのバス兼トイレがある
といったのが1ベットルームスイートの具合だ。
この造りから推察すると、当初取りたかった2ベットルームスイートは
もうひとつツインのベットルームが付いていて、
リビングが少し広めといった感じではなかろうか。
テレビはリビングと寝室にそれぞれ付いていて、
またWi-Fiも使えて、人それぞれ思い思いの時間が過ごせる。
ちなみにこの部屋での3人目の補助ベットは、
ツインのベットルームか、リビングに作るか当日尋ねられるが、
ホテルの人のおすすめ通りに、広く使い勝手がいいということで
リビングの方に置いてもらった。
補助ベットは夕食前にホテルのひと2人で作ってくれた。

夕食はフレンチ、日本食、カジュアルレストランの3つの施設から選ぶことになる。
時期にもよるだろうが、夕食時のいい時間帯は混むので、
フレンチと日本食は宿泊前に予め予約しておくことをホテルから勧められる。
前日にフレンチのフルコースを食べたので、
今回はカジュアルレストランの「アルペンローゼ」を利用した。
ただこのレストランは予約はできず、夕食開店時の17時30分に行けば
大抵はすんなり座れるだろうが、すぐに混雑するようで、
席が空くまで部屋で待機することとなった
(部屋から電話で状況を確認して、順番待ちという形となるが、
それでも基本予約とはならないようだ)。

息子の大好物のチーズフォンデュー2人前と、
ハンバーグにスパゲティー、ソーセージのオーブン焼きを食したが、
”さすが超一流ホテル”と内心ふふふっと納得してしまった。
チーズからソースからソーセージ、野菜に至るまで
使っている素材はすべてホンモノといった感じで、
身近な料理ながらも普段にはない味覚を楽しむことができた。

朝食はメインダイニングで洋食を注文するか、
和食を食べたい場合は宿泊前に予約が必要となっている。
メインダイニングでの朝食は、モーニングセットに加えて、
お客の都合に合わせてアラカルトでも注文できるようになっていて、
ほしいものをほしい分だけ食べられて、使い勝手がよい。
またコーヒーも美味しく、お代わり自由なのも良かった
(コーヒーが減っていると気が付いて注いでくれる)。

このようなホテルでは、部屋や施設、料理の良さもさることながら、
もっともそれ=超一流と感じるのはホテルマンの見事な対応に触れた時
であろと思われる。いわゆる”神対応”と言われるものであるが、
実はこの”神対応”も滅多にはお目に掛かれるものではないとも思う。
というのもホテルのサービスは基本流れ作業であるし、
接客業全般に言えることだが、あえてお客に働きかけることは控えるものだし、
お客側も滅多にややこしいことは頼まないからである。
私もこれまで数々の宿に泊まってきたが、
この”神対応”、ずっと印象に残る接客を受けた記憶は数えるほどしかない。

ただ今回、この上高地帝国ホテルで、”神対応”と言えるまでかはわからないが、
息子のアレルギーに対しての対応は感心し、深く印象に残った出来事だった。
息子は小さい頃から多くのアレルギー反応検査で引っ掛かって、
これまでは気を付けてきたのだが、もう14才だからと、
今回の旅行ではこれまでほどは気に掛けていなかった。
アレルギー反応といっても軽い症状で、命に関わるようなことは今までになかったし、
食べれるものと食べられないものはいい加減自分で判断できるからだ
(今までの経験からくる単純な好き嫌いに基づくものであるが)。
ところが息子のジュースを注文する時に、リンゴと桃にアレルギーがあるという話が出ると、
レストランのホテルマンは厨房に入って、出す料理すべてについて、調味料に至るまで
アレルギーと関わりがないか確認をとってくれた。
今まで息子を見てきた親としては、ちょっと大袈裟にも思えたが、
そのお客に向き合う真摯な姿勢は感心するばかりであった。
そして朝食時でも、別のホテルマンにその事情は伝わっていて、
朝食で出されるものについても全く心配ありませんと告げられた。

そんな対応の一面に加えて、電話を掛けるとホテルマンの方から
「○○様ですね」とお客の名前で呼び掛けてくれるなど
(たぶん電話の掛かってきた部屋番号と一緒に
お客の名前も表示されるシステムになっているのだろう)
帝国ホテルではとりわけ接客に投資している様が垣間見れた気がした。

上高地帝国ホテルは歴史ある建物と聞いていたので、
そんなうんちく話を聞く機会がなかったこと、
また昼間のハイキングが堪(こた)えて、
夜にバーに行く気力がすでになかったことが今回心残りとなった。

また是非訪れて、今度はそれらも満喫したいものだ。

(良い印象)
◇数々の高い評判に間違いなし。
 施設も料理も接客も超一流と言える。
◇古いロッジ風の造りは周りとも解け合って
 いい雰囲気を醸し出している。
 (ドラマ「ツインピークス」のグレート・ノーザン・ホテルのようだ)
◇とりわけ接客を楽しむ機会をつくるべし。
◇備品サービスも満点。
 頼めば部屋のタオル類はもちろん、アメニティーも補充してくれる。
◇タクシーでホテル前に着けるし、呼ぶこともできる。
 (上高地でこれができるのは2軒のみ)
(悪い印象)
◆特にはないのだが、あえて言えば‥
 トイレが旧式の低い便座で、高くてひとまわり大きいものにしてほしい。

息子と嫁にあっては‥、
部屋が広いことと、部屋でWi−Fiが使えてタブレットがいじれることは
好評であった。
しかし部屋付きのサービス面では、前日の「ルミエスタホテル」に
軍配が上がったようだ。
周りの景色も「上高地帝国ホテル」は森に囲まれたといった感じに対し、
「ルミエスタホテル」は絵になる風景と言えるだろう。

スイート利用のため、支配人からという心遣いで
アップルパイと大瓶ジュース(桃とりんご)のサービスは嬉しかった。
息子のアレルギーを予め断っていたら、
息子に合わせた別のものを出してくれたことだろう。

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リビングルームとリビング付きキッチン


ツインのベットルーム


洗面所とバス&トイレ


ベランダよりの景色