旅の空色


星野リゾート 裏磐梯ホテル


(注意)ウィキペディアによると星野リゾートによる運営は
    2015年9月末をもって打ち切られ,
    10月よりは通販大手・ベルーナの子会社による運営となり、
    名前も「裏磐梯レイクリゾート」と改名されるようだ。
    知らなかったとは言え、私たちはほぼ最後の客となったらしい。

 星野リゾートには様々なタイプのホテルがあるが、
大きく分けてふたつに分類できるだろう。
ひとつは一から自分で開発を手掛けたタイプ。
もうひとつは元からあるものを”安く”買収したタイプである。

”安く”を強調したのは、いい物件をどんどん
積極的に買収しているという形ではなく、
元の箱物(物件)は良質のものだが、
経営が行き詰まり、”安値”で手放さざるを得なくなった
物件を買いたたいて拾っているからである。
そのため立派な施設ながらも
初期投資が押さえられ、
その分を充実した施設や料理の質などで還元できて、
手頃な値段ながらも高いサービスを実現している。
ただ「裏磐梯」の場合は、箱物を安く間借りしていたようで、
その所有者が変わったため、撤退を余儀なくされたようだ。

というわけで、以下は「今は昔」の話となる。

宿ホームページは上記の理由により掲載せず。

[筆者評]
 「休暇村 裏磐梯」の連泊は飽きると思い、
休暇村よりもワンランク上のサービスと考えて
同じ裏磐梯のこの星野リゾートを利用。
デラックスツイン(58u)+バイキングプラン、
夏のトップシーズンで大人1人一泊二食付きで1万6千円くらい。

今回このホテルで一番よかったのは夕食のバイキングであった。
焼きたてのステーキ、揚げたての天ぷら、ゆでたてのうどん&そば、
そして目の前で盛り合わせるスイーツと
ライブキッチンコーナーが4カ所あって、
これらのものは最高の状態で味わうことができた。
前日は仕方なくキスの天ぷらばかり食べていた私だが(於:休暇村)、
この日はエビの天ぷらをそれ以上たらふく食べて、
前日の無念を取り戻した形となった。
地酒6種飲み比べとともに、美食を満喫し、大満足であった。
が、しかし‥。
朝食バイキングは一見見栄えはいいが、
品数はかなり限られていて、とても残念な気持ちになった。
昨夜の饗宴はどこにぶっ飛んで行ったのか?という
手の平を返したような内容であった。
朝食バイキングは休暇村の方がよかったと言える。

先に紹介したように、星野リゾートのこのタイプのホテルは
充実した施設をお安く利用できるので、
少し贅沢をしようと広めのデラックスツインを予約した。
ホテル最上階の屋根部にあるこのタイプの部屋は、
ちょっと変形した作りとなっているが、
ツインのベットルームもリビングもゆとりある作りで、
またユニットバスも広めであり、部屋は好感が持てた。

温泉はかなり広めの大浴場の内風呂と、
大浴場から階段を降りて外に出た所にある
檜原湖を望む露天風呂からなる。
露天風呂からも、内風呂の大きな窓からも
檜原湖とその後の山並みが見えて、
自然との一体感のあるいい雰囲気の温泉である。

ただ部屋からの眺めも、温泉からの眺めも
ホテルの周りの木立にさえぎられて
視界が広くないのが残念。
自然保護の関係で、枝1本勝手に切れない事情があるそうだ。

もともと300億円もかけた施設とあって、
大中小様々な空間を擁して立派な建物であるが、
星野リゾートとしては使い切れないのか、
目立たないが封鎖されている大中小のスペースが
あちらこちらに見受けられた。
個人的に特に残念だったのが、
階ごとにある共同トイレが封鎖されていること。
(私は結構利用するんだなあ)
おばけの住処みたいな空間になってしまっていて、
せっかくの雰囲気に水を差していた。

以前泊まった星野リゾートの「リゾナーレ 八ヶ岳」でも
感じたことであるが、星野リゾートはサービスにメリハリがあり、
オールラウンドではなく、サービスを特化&先鋭化させることにより、
その幅のうちにおいては高い満足を実現していると感じた。

(良い印象)
◇立派な施設と夕食がご馳走なのに料金が手頃である。
◇バイキングでのライブキッチン感がよかった。
◇「お出迎えはスタッフ全員で!」といった
 チェックイン時の人海戦術も好印象。
(悪い印象)
◆朝食バイキングが手の平を返したように貧相であった(嫁も同意見)。
◆施設は立派だが、サービスの割り切りもはっきりしていて
 施設内で遊べる空間がほとんどない。
 (そのような施設サービスをスタッフによるイベント企画で補完しているのも
  星野リゾートの特徴かもしれない)
◆コスト削減の一環だろう、共同トイレの封鎖や所々の照明が消されていて、
 華やかなホテルライフに水を差す。
 自由に使えるインターネットコーナーがないのも残念。

○全体としてはサービスと値段のバランスは保たれていると感じるが、
 コストカットの内幕はお客に見えないようにしてほしいものだ。

息子には可もなく不可もなく、「休暇村 裏磐梯」同様に
ここも「まあまあかな」とのご意見。
もし息子に不満があるとすれば、
プールがないこと、あと高温サウナと水風呂がなかった点であろう。

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「星野リゾート 裏磐梯」の「やまびこガーデン」にて息子を撮影。
ホームページではこの「やまびこガーデン」はいい雰囲気を醸し出していたので、
湖畔に佇む芝生の広場かと勝手に想像していたのだが、
実際はエントランスと駐車場の間のただの広場であった。
ここだけの話ではなく、ホームページではしばしばこのようなギャップが生まれる。
個人的にはよく作り込まれたホームページよりも、
シンプルで単純、正確さを重視するホームページの方が信頼できる。

〈余談〉
『なぜ?今回は裏磐梯であったのか』

第一に微力ながら福島に貢献したかったこと。
第二に「星野リゾート 裏磐梯」に心残りがあったこと。
第三に今年こそ涼しい高原リゾートでテニスをしたかったからである。

実は「星野リゾート 裏磐梯」とは4年前に縁があった。
春休みの家族旅行に予約を入れていたのである。
ところが春直前にあの東日本大震災が起こった。
東北自動車道は閉鎖(通行規制)され、
国道も通行不能になり、自然キャンセルの流れとなったのだった。
まあそれ以前に日本全体が旅行するような雰囲気ではなかったが。
ところが後日、「星野リゾート 裏磐梯」から電話が掛かってきた。
「1泊一人5000円でいいから来てもらえないか」と。
新潟から回り込めばホテルに辿り着けるという話だった。
大震災の自粛ムードによって人の流れが止まり、
日本全国津々浦々の観光地は悲鳴を上げ始めていた時でもあった。
さすがに交通の便が悪く、大きな余震も予断を許さなかったので、
その申し出は断ったが、このことは心残りとなったのだった。
(この春、星野リゾートの裏磐梯は断念したが、
代わりに同じ星野リゾートの「リゾナーレ 八ヶ岳」を利用した)

あとテニスについてであるが、息子がスクールに通っていることもあり、
家族でテニスをするのも昨今の旅行の楽しみのひとつとなっている。
昨年夏は伊豆高原でこのテニスイベントを行ったのだが、
伊豆の”高原”は名ばかり高原で、標高が低いため、涼は全くなく、
サウナの中でテニスをするという体の、酷い目にあったのだった。
しかし息子がとても楽しみとしていたイベントなので、
大汗をかきかき、土砂降りの雨の中を潜ってきたようになりながらも、
夫婦ふたりで息子に1時間付き合ったのだった。
(1時間が限界であった。しかし2日間テニスに付き合った)。
そんな経験から今年こそ涼しい高原リゾートでテニスをと決めていたのだった。

さすが標高800メートルほどある裏磐梯高原は涼を感じた。
ただテニス後はひとっ風呂浴びたいくらいは汗をかいている。