旅の空色
食べるお宿 浜の湯
静岡県東伊豆町稲取の稲取岬近くにある高級旅館。
「食べるお宿」の二つ名の通り、地場ものの新鮮な魚介類を使った
饗応料理を自慢としている。
洗練されたデザインの部屋や最上階の天空大浴場なども売り。
宿ホームページ→(外部リンク)http://www.izu-hamanoyu.co.jp/
[筆者評]
夏の家族旅行で2泊利用。
当旅館では最高級のA−Typeの部屋(733号室)に宿泊。
1泊2食大人ひとり5万2千円。
客室としては最上階、7階隅にあるその部屋は
134uあるというが、私にはその規模には感じられなかった。
(7階エレベータホールを左に行って、一段下りたところに
当旅館最上級の3部屋が並んでいて、733号は
一番奥の角部屋に配されている)
一番の大部屋ながらも、とてもコンパクトにまとまって作られた
デザイナーズルームで、廊下部が少ないことが
こぢんまり感じた理由かもしれない。
大部屋のうち1/3を洗面所と風呂に割いているのが特筆すべき大きな特徴。
広い洒落たタイル張りの洗面所から、総ガラス張りで仕切られた内浴室に入り、
さらに外のガラス壁を出たテラスに大きな露天風呂があるといった
風呂尽くしの部屋でもある。
内風呂は洋画に出てくるような独立した洋式のバスタブで、
壁にテレビも埋め込まれている。
また内風呂には別にガラスで仕切られたミストサウナルームもある。
テラス側に広い洗い場があって、
そこからサッシを開けてテラスに出ると、
直径2m大の円形大理石露天風呂が常に湯を溢れさせながら
湯客を待っているといった具合である。
露天風呂に浸かると、ベランダのガラスの手すり越し一面に
水平線が見えて、海の絶景と一体感を感じることができる仕掛けになっている。
この旅館一番の部屋は部屋の大きさもさることながら、
一番の風呂自慢の部屋でもある。
(後に紹介する最上階の大浴場ももちろんいいが、
私にはこの部屋風呂も同じくらいの価値と満足があると思った。
部屋の露天風呂は人が風呂から上がるとそれを探知して、
注ぐ湯量が増え、瞬く間に湯船が溢れる工夫となっていて、
その心づくしに感心した)
部屋には12畳の和室の他に、8畳ほどのツインのベットルーム、
8畳ほどのリビングルーム、そして露天風呂と並んで、
ベランダに8畳ほどのデッキテラスがある。
和室、洋室、リビングにそれぞれ大型のテレビがあり、
テレビの数でも今までで最高記録であった。
(浴室の小型テレビも入れると計4台となる。
最高という点では、部屋付き露天風呂の大きさと
宿代も今までで最高記録となった)
和室奥に布団用の押し入れと衣装入れがあるが、
ちょっとしたウォークインの構造になっていて、
女性の着替えに配慮した作りとなっている。
またリビングの壁奥に1畳半ほどの
細長い畳部屋があって瞑想ルームとなっている。
狭いところ好きの子供や、家族の喧騒から離れて
静かに昼寝したい大人にはウケル遊びの空間である。
食事は朝夕ともに部屋の和室にて出される。
(一般的な部屋は食事処出しのようだ)
賑やかでボリュームある前菜から始まり、給仕は4回。
大型の金目鯛の姿煮やアワビの躍り食い、
伊勢エビを始めとする刺身の舟盛り、
その他にも煮物、焼き物、小皿料理と
「食べるお宿」の二つ名通り、
地場の海の幸を使った料理がふんだんに出される。
朝からも鯛の刺身といった具合で、
正に海の幸尽くしの宿であった。
ただ‥、私たちにとって料理の質および量は
この宿が一番ではなかった。
それでも看板に恥じぬ饗応料理だったと思う。
(今までで一番は今は無き河津の『佳遊亭』である)
大浴場は建物の最上階、8階を一面使って作られている。
男女入れ替え制で『望洋』と『満天』というふたつの大浴場があるが、
『望洋』の方が少し広い作りだろうか。
(『望洋』は夕方〜夜、女性用となっていたので
ここでも旅も女性重視の時代を感じた)
いずれの大浴場にも室内および室外の大風呂を始め、
展望東屋風呂や寝湯、立ち湯(深さ120cm)、
サウナ、水風呂など様々な湯船が用意されていて
まるで風呂のテーマパークのようで
風呂好きにはたまらない作りとなっている。
そしてなんといっても湯に浸かりながら見る海の絶景と
頭上に広がる天球状の青空、または夜空は
世界の中心に己が裸体を据えられたように錯覚する
得も言えぬ不思議な感覚を味あわせてくれる。
また大浴場の他に、無料の貸し切り風呂や、
有料のデザイナーズ貸し切り風呂も用意されていて、
1泊ではすべての湯船を巡ることはできないだろう。
(部屋に立派な風呂が付いていたので今回使わなかったが、
有料のデザイナーズ貸し切り風呂は
洋風バスタブの内風呂に露天風呂、露天寝湯、ミストサウナに
デッキテラスの付いた贅沢なものである。
お休み処と合わせて110uの広さがあるそうだ。
大勢でわいわい入るのもいいだろう。
733号室の風呂よりもひとまわり大きい造りだ)
館内施設はクラブにカラオケルーム、ゲームコーナー、
エステルームなどがある。
うちカラオケしか使わなかったが、
料金の割には15人ほどは入る広い部屋を使えて、
部屋の大きさに負けずに家族3人で熱唱してきた。
(1ヶ月くらい前にカラオケの予約を入れたが、
小振りの部屋はすでに予約があって使えなかった。
小振りで1時間1部屋2500円くらい、大部屋で3300円くらい。
どの宿でもそうだが、カラオケは予め早い段階で
予約を入れておくべきだろう。
当日あてにするのは危険である。
またゲームコーナーは中途半端な規模と設備で使えなかった。
あれなら卓球コーナーか海が近いのでランドリーにした方が
いいのではないかと感じた)
(良い印象)
◇二つ名に恥じぬ饗応料理の宿である。
◇屋上にある大浴場も絶景と風呂尽くしで風呂好きにはたまらない。
◇接客も行き届いている。
特にフロントでの大勢のスタッフによる水も漏らさぬといった接客が好印象。
(悪い印象)
◆特にない、が‥あえて言えば
@海が近いのでやはりランドリーは必要。
A近年のホテル式のさらっとした接客はわかるが、
部屋にある設備はちゃんと一通り説明した方が良い。
というのも733号室はミストサウナなど
操作の必要な機械ものがあったためだ。
付属の設備は十分に使ってもらってこそ華である。
息子には、魚に軽いアレルギー反応があるため、
基本息子向きの宿ではなかったが、
そこのところは宿の方が予めいろいろ気遣ってくれて、
結果食事も十二分に楽しむことができた。
(魚自慢の宿で肉中心の料理を頼むとは‥、トホホ。
仕方が無いとはいえ、相変わらず野暮な息子だ)
最後に息子に「この宿どうだった?」と聞くと
「まだまだ泊まり足りない」とそこが不満だったそうだ。
息子はベランダのハンモックがお気に入りだった。
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《ご馳走も2日食べると飽きる》
贅沢な話だが、それが今回の最大の教訓。
二連続の贅を尽くしたたっぷりの夕食と
朝から贅沢&しっかりの朝食に
旅行二日目と三日目は昼食が要らないお腹の状態だった。
さすがに三連続目は頼まれても精神的に無理といった感じ。
ただ同時に、昨年の『賢島 宝生苑』や
今回のような特別に贅沢な部屋は
二日は泊まらないとその機能を十二分に使えない、
楽しめないというのも持論。
また連泊のお客には宿のもてなしとして
二日目に違った趣向の料理を出さないといけないと思うので、
宿の真の実力が問われるとも私は思う。
その意味では、今回の「浜の湯」は
一日目が新鮮さ重視の料理、
二日目は手の込んだ技の料理といった具合で
両日とも趣向の違いが現れていてとても好感が持てた。
二日目の金目鯛の野菜たっぷり中華煮は
新しい金目鯛との出会いともなった。
(一日目は大型金目鯛の煮付けが出た。
二日ともに大型の金目鯛を夫婦ふたりで
綺麗に平らげたことに仲居は驚いていた。
我が家の家訓は『出されたものはすべて食す』である。
お客さん2〜4人までは大型金目鯛一匹で対応するそうで、
他にも料理がたくさんあるので大抵は食べ残しがあるそうだ。
これで金目鯛はオーソドックスな煮付けに、
今回の中華煮、そして「佳遊亭」の姿揚げあんかけの
3パターンを食べたことになる)
733号室の自慢の部屋付き露天風呂。
いつもたっぷりの湯量でお客を待っている。
洗面所から内風呂、その外に露天風呂を望む。
右のガラス扉はミストサウナ(乾燥室にもなる)の入り口。
まさに風呂尽くしの部屋となっている。
嫁に日頃の感謝を込めてバラ風呂をプレゼント。
その入浴シーンを記念に撮ろうと思ったが、やっぱり断られた。
仕方なく息子で代用。
息子お気に入りのハンモック。
旅行中は暑い夏日だったが、やはり海の近くは風が心地よく過ごし良い。
稲取温泉旅館組合が運営する「ウキウキビーチ」のプールにて。
この手のプールにしては珍しく飛び込み自由。
息子には大のお気に入りとなり、3日間通い詰めた。
プールの水は海水を汲み上げていて衛生的にも良い。
基本有料だが(大人200円、子供100円)
稲取の提携旅館に無料券が用意されている。
またプール手すり向こうの海沿いには
別に岩に囲まれた潮だまりがあり、天然の海洋プールになっている。
こちらは出入り自由の無料で、魚やカニと遊ぶことができる。