旅の空色


あつみ温泉 萬国屋 ばんこくや


 新潟と山形の県境、温海(あつみ)温泉にある大型旅館。
開湯は西暦800年頃と言われる温海温泉は
山形において最上格の温泉地として知られている。
海より1kmほど温海川を上った川沿いに温泉街がある。

宿ホームページ→(外部リンク)http://www.bankokuya.jp/

[筆者評]
 男二人の旅行だったので、
一番リーズナブルな一般客室を利用。
その割には大人一人一泊2万円程度と
料金はやや高めに感じた。
山形では一番格の温泉地に加え、
その温泉地でも一二を争う旅館だからか?
隣接する「たちばなや」が同クラスの大型旅館。
「たちばなや」→(外部リンク)http://www.tachibanaya.jp/

部屋は一番安い部屋だったので
10畳の和室ひとつで
これといった特徴はないが、
旧館を改装して少し広めにしたためか、
ちょっと変形した造りが気になった。
その他には2間続きや
露天風呂付きなど
和をベースにした部屋を揃えている。

平成22年9月のコラムでも触れたが、
(コラムは後日掲載予定)
旅館の随所に私には理解し難い
無駄なスペースがあるのが気になった。
コンクリ打ちの間仕切りの関係で
空いた空間を休憩所や飾り間としたのかはわからないが、
ほとんど利用しないんじゃないかと思われる
空間が館内に幾つか見られた。
或いはもしかしたらこの地域のある種の文化なのかもしれない。
ちょっと離れているが、
新潟・月岡温泉の超大型旅館「華鳳(かほう)」なども
建物や庭がどどーん!とした豪勢な造りで、
地元の大きな家に住む農家などには
それくらいやらないと接待にならないのかもしれない。
と、あくまで勝手な想像であるが‥。

料理は宿代が高い分、量も質も満足のゆくものだった。
中型のタラバガニを始め、この頃流行始めていた
地元の三元豚の料理など、
郷土色を出した料理に好感が持てた。
朝食はバイキング形式で、品数もあり、
特に魚の干物を3種類から選んで、
自分で七輪で焼くサービスは良かった。

大浴場についても平成22年9月のコラムでちょっと触れたが、
館内に二つあって、それぞれ趣きが違う。
いずれも大きく特徴があって良いが、
とりわけ私は内風呂に湯樋(ゆどい)のある方が
珍しく、また面白くお気に入りであった。
湯樋とは屋根の雨受けをする雨樋(あまどい)と同じような、
液体を思った方向に流す筒を言い、
水の代わりに温泉を流すものである。
これは熱い源泉を流れる途中で空気で冷ます
といった古(いにしえ)からの知恵である。
まあ飾り程度の長さではあるが、
お湯の流れを間近に見て
久しく錆び付いていた子供心を刺激された。
また外の露天岩風呂も大きく、
風情のある造りである。
(こっちの大浴場の方が女性に先に開放されていたので、
昨今の女性優先の風潮を感じ、ちょっと妬ましかった)

この「萬国屋」や「たちばなや」が並ぶ川岸の対岸が
昔からの温泉街で、中小の老舗の旅館が建ち並び、
温泉地らしい雰囲気がある。
また毎朝特設のテナントで朝市が立っている。

(良い印象)
◇清潔感抜群で、広々とした造りである。
◇朝夕ともに地元色のある美味い食事だ。
◇浴場も広く、熱めだが温泉の肌触りがよい。
(悪い印象)
◆地元、山形では最上級格のため料金がやや高めか。
◆個人客には施設の充実度がいまいちかも。

 ※旅館とは別だが
◆朝市はもうちょっとよそから来る客を喜ばせる工夫が必要。
 
もし息子と来たら‥、近くの温海海水浴場で遊んだり、
旅館の前の温海川で川釣りをしたいものだ。
あ、そうそう、山形の鶴岡と言ったら
市立加茂水族館(かも)に寄らなければならない。
様々なクラゲの幻想的な展示法で
全国に先駆けて有名になった水族館だ。

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地下階のクラゲ展示室は暗室になっていて、光を当てることでクラゲを浮かび上がらせる。
ガラスに映った非常口の明かりも写っちゃって、いい構図なのに写真としては失敗。

火星人のようなヤツらもいる。

私が訪れた2010年9月の後、加茂水族館は大改装をしたそうで、
今ではさらにいい施設になっているだろう。
ぜひまた訪れたいものだ。