旅の空色
中嶋旅館
岩手県の有名な花巻温泉を過ぎたちょい奥にある台温泉(だい)。
県道123号線のどん詰まりにある小さな温泉街にある古い旅館のひとつ。
お一人様OKとのことで泊まってみた。
宿ホームページ→(外部リンク)http://www.nakashima-ryokan.com/
[筆者評]
宮沢賢治を訪ねて、私は初めてのひとり旅を敢行した。
ひとり旅への憧れの結実でもあった。
そして私がそこで見たものは?
(この辺の経緯は平成18年11月および12月のコラムの掲載。
コラムは後日掲載予定)
この宿を選んだ理由はひとつ。
お一人様OKの宿だからである。
ネットでそのキーワードで探して選んだ結果。
二間部屋(ひと部屋は2畳の縁側)「宝来(ほうらい)」使用。
一泊一人二食付き1万5千円(お一人様使用)。
宿では2番目に大きい特別室らしい(後で知った)。
この宿の一番の特徴、それは古さである。
悪い意味ではない。
木造の柱や梁(はり)や壁塗りが前近代のもので、
柱は太く、つやがあって頼もしく、
梁には所々遊びの彫り物があって目を楽しませ、
塗り壁は時の深さを色合いで現している
といった具合の、老いた、しかし生きている建物である。
建物を貫く吹き抜けに右に左に延びる階段も
見ていて面白く、昇るのも苦にならない楽しさがある。
そこらの部屋の引き戸から
探偵、金田一耕助が出て来そうな、
もしくはアニメ「千と千尋の神隠し」に出てくる
油屋を小さくしたみたいな
そんな古く懐かしい旅館である。
また大浴場も他にはない個性的なものである。
建物の地下にある大浴場は
そこにあった自然の岩盤を切り抜いて
湯船を作ったという構造で、
岩盤から出てくる源泉掛け流しである。
かつそんな荒削りな湯船だからか、
湯船の場所によっては深さもあり、
立っても胸元まで湯があるといった具合で、
いわゆる立ち湯も楽しむことができる。
浴室内は太い石柱と大理石の壁に囲まれて、
湯船の岩盤と合わせて石づくしの重厚感あるものだ。
ただ私が褒めるのはここまで。
食事は取り立てて特徴のないお膳である。
またトイレも建物に沿った旧式のもので、
近頃の世代の風潮からしたら、
違和感を感じるかもしれない。
ノスタルジーと感じられるのは
私の世代までだろう。
(良い印象)
◇ノスタルジックさたっぷりの宿だ。
◇大浴場も個性的でおもしろい。
(悪い印象)
◆食事に特徴はない。
ていうか、山なのに海のものが中心だ。
魚の品質もたいしたことないし。
◆古過ぎてすきま風あり。
◆交通の便が悪い。花巻駅からバスで30分超。
息子は喜ばないだろう。
私ひとりの自己満足的ノスタルジーで終わりそう。
せめて料理はもうちょっと工夫した方がいいなあ。
田舎の煮物や漬け物など自家製でいいから。
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初日、東北新幹線を新花巻駅で降りた私は、
バスを使って「宮沢賢治記念館」、
「宮沢賢治童話村」、「花巻市博物館」、
「花巻新渡戸記念館」をゆっくり観光後、宿に向かった。
(上記4施設は密集している)
2日目は花巻市市街をうろうろした後、
花巻駅より銀河ドリームライン釜石線に乗って
新花巻駅まで移動し、帰路に着いた。