旅の空色


季一遊 ときいちゆう


 静岡県伊豆半島、南伊豆町の弓ヶ浜にある高級旅館。
美しい砂浜の弓ヶ浜が目の前で、洗練された和の部屋に
料理にも定評がある。

宿ホームページ→(外部リンク)http://www.tokiichiyu.com/

[筆者評]
 夏の家族旅行で利用。
大人6人子供2人本館特別室。
大人一泊二食付き3万円。

 基本我が家では全員で枕を並べて寝ることを
理想としているので、特別室を利用した。
和室10畳と和室12畳の2間続きに
10畳ほどの応接間と4畳ほどの広縁、
それにちょっとしたバルコニーがあるのが1階部。
また玄関横の階段を昇った2階には12畳ほどのツインベットルームがあり、
2階からは階下が一望できるといった具合のメゾネット構造になっている。
おお人数で使っているとは言えこの広さで
一人3万円は私にはお得な値段に見えた。
(但し、今はどうかはわからない)
2階部はちょっとした秘密基地のようでもあり、
子供達にはお気に入りの場所でもあった。
(この部屋の難点はひとつ。
冷暖房機が2階部屋横にあり、上から下に冷気および暖気が
降りるようになっている。2階の室内窓を開けておかないと
1階は冷暖房が効かないというのが欠点だった)

食事でよかったのは食事処の入り口に
魚が6種類その姿のまま置いてあり、
好きな魚を2つ選んで、
舟盛りで出してくれるサービスだった。
子供達も自分たちが食べる魚に興味津々だった。
我が家はスズキと大ぶりのアジを選択。
他にはタイやヒラメや金目鯛が並んでいた。
ただちょっと残念だったのが、
魚の切りと盛り付けがやや雑に見えたこと。
トップシーズンでもあり、多忙なのも分かるが、
味の半分は装飾で決まる。
料理は和洋折衷の創作料理といった感じのものだった。

施設でよかったのは、そんなに大きくはないが
ひょうたん型の洒落たきれいなプールがあること。
この日は候が悪く、海が冷たくて入れなかったので、
子供達の遊びにプールは助かった。
プールにはバーも付いていた。
他の施設はクラブとパーティールームといった大人向きのもの。
訪れたのが海のシーズンであったので
私たちのような家族連れも見えたが、
基本高級旅館であり、大人向けかもしれない。

大浴場は、個人的には想像していたよりは小振りに見えた。
この規模の旅館なら、もうちょっとゆったりしていても
いいんじゃないかと思った。
湯船の数はあるが、広さは中規模といった感じか。

私たちが訪れた時にはなかったが、
季一遊では別館を増設したようだ。
別館は本館の部屋よりもグレードアップして、
大きなバルコニーがあったり、
露天風呂のあるデッキがあったり、
メゾネットタイプ造りで広く空間を演出し、
シーサイドの環境を生かした
独立した戸建てのような部屋らしい。
ただ総合的な広さでは、私たちの使った
本館特別室の方が広いようだ。
(そー思い返せば、一番いい部屋の割には
内風呂はあっても、露天風呂はなかった。
あってもいいものだが‥)

(良い印象)
◇純和風造りで落ち着いた雰囲気の旅館である。
◇美しい弓ヶ浜が目の前にある。
 (浜と旅館の間には防波用の堤がある)
◇魚が選べるサービスは良かった。
◇ホテル風の洒落た屋外プールも付いている。
(悪い印象)
◆繁忙期は人員が限られているためか煩雑さが目に付いた
 (魚の盛り付けもそうだが、混雑時の大浴場の脱衣所は
  放っておかれていて、タオルが散乱していた)
◆大浴場がやや小さめ。あとせっかくの海が見えない。
◆子供が喜ぶ施設がない(季節限定のプール以外)

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私が感じるに、海に近い宿はトップシーズンの夏は
その最盛期の繁忙ゆえにサービスが落ちざるをえない傾向にあるようだ。
人気の宿ほど、連日満室になるだろうし、
ゆえに正規の従業員は毎日てんてこ舞いだろうし、
臨時雇用ではいつもの高い品質のサービスまでできないだろうし、
人によるサービスに重きを置いている宿ほど難しい局面だろう。
だからといっていつもより割り増しの料金を払って来る客は、
思い出の旅行となることもあり、大きな期待を掛けて来るものでもある。
そんなお客の気持ちに答えられるように
知恵を出して頑張ってほしいものだ。

文句つけるばかりじゃなんなので、
私の素人なりの解決策を上げてみた。
@通常期の宿の稼働率を高く保つ。
 そうすれば常に総力戦体制になり
 質の高い従業員で繁忙期も乗り越えられる。
 (簡単にいうけど一番難しいと言われそう)
A接客サービスのスリム化と還元。
 できるところはお客のセルフサービスとし、
 その分はお客に還元する。
 ウエルカムドリンクを生ジュースのフリードリンクとする。
 またサーバーで生ビールを自分でつがせるのもいいかも。
 (そんな着いて早々がばがば呑む客はいないって。
  俺じゃあるまいし)
 また挨拶とみだしなみさえ整っていれば
 誰でもできる軽作業はアルバイトに任す。
 ポーターサービスや席の案内係、
 大浴場やプールのタオル係など。
 但し、アルバイトと言えど、接客マナーの
 最低限はよくよく研修すべきだ。
Bそれか繁忙期は徹底してホテル形式にしてしまう。
 手間の掛かる食事の部屋出しを基本止め、
 部屋出しは別料金が掛かるなどして
 なるべく食事処に誘導する。
 食事処が狭い場合は予約制にして時間別にお客を振り分ける。
 ただ不自由を掛ける分、納得のゆく付加価値が必要だろう。
 例えば一部料理をライブキッチン形式にするとか。

 最後にお客の発言は大方は無責任なものである。
                                 かしこ。