旅の空色
不老ふ死温泉
青森県の日本海側、秋田県との県境にある
西津軽郡深浦町(ふかうら)の温泉旅館。
小さな半島の突端にあって、日本海を目の前に望む。
海岸の岩場にある露天風呂はあまりにも有名で、
温泉通ならば一度は訪れたいロケーションである。
すぐ近くに世界自然遺産、白神山地もある。
宿ホームページ→(外部リンク)http://www.furofushi.com/
[筆者評]
旅番組では度々紹介される有名な温泉なので、
温泉好きの筆者もこの度訪問した次第。
大人一泊二食、夕食グレードアッププラン利用、
大人1人14000円。
(今春から息子が中学生となり大人料金になりました)
カラオケルーム貸し切り1時間3000円。
この旅館の売りは何と言っても
海ぎりぎりの岩場にある、野趣溢れる温泉露天風呂である。
露天風呂は混浴と女性専用のものが簀の子で仕切られてあるが、
テレビや雑誌で取り上げられるのは混浴の丸い湯船である。
この露天とは別に、本館と別館にそれぞれ内風呂の温泉もある。
また高台に建てられた別館の方は内風呂外に
展望露天風呂があり、高い目線で日本海を望みながら
湯を楽しむこともできる。
(本館と別館は繋がっていて、階段とエレベータを使って行き来できる)
湯は黄褐色でサビ臭さが鼻に付く特徴がある。
最初は配管かなにかの不備による臭いかと思ったが、
湯の成分にあるマグネシウムの影響かもしれない。
売りの露天風呂がもっとも色合いが濃く、
温泉成分が強い湯に思われた。
ただ露天風呂は波の荒い冬期は
入浴できないようである。
また夏の岩場には虻(あぶ)や蚋(ぶよ)がいるので
こちらも注意が必要となる。
虫嫌いは館内の風呂を楽しむべし。
館内の内風呂でも温泉の効用は十分にある。
夕食は大部屋の食事処でのお膳料理となる。
旅館の経営者が網元(漁師の元締め)ということで、
魚を中心とした料理である。
大トロ、中トロ、赤身の三種盛りに、
中型のアワビの躍り食い、アワビの酢漬け、
焼き魚、煮物、香の物、茶碗蒸しなどのお膳の他に、
ウニご飯とデザートの給仕がある。
ここら辺では近くの小島で獲れる大きなサザエが
珍しいそうで、サザエの壺焼きもご馳走として出された。
朝食は海を望む会場でのバイキング料理であった。
部屋はほぼ同じ規格で
広縁と10畳ほどの和室もしくは洋室を持つタイプである。
部屋風呂はなく、トイレと洗面台のみの
シンプルな設備となっている。
館内設備もスナックにカラオケルーム、売店といったところ。
私感だが、名物の温泉露天風呂から始まり、
人気とともに建て増ししていったという風に感じられた旅館であった。
別館にある内風呂に向かう通路には
旅番組でお馴染みの数々の芸能人が訪れた写真があり、
国内有数の実績を誇っていた。
(良い印象)
◇温泉通には必修の湯であろう。
◇夕食のお膳料理は質、量ともに満足の範囲内か。
(料理のグレードアッププランを利用)
◇日本海に面した宿に多く見られるよう「沈む夕日」の景色も売り。
日没に合わせて夕食の時間を前後に調整してくれるそうだ。
◇世界自然遺産・白神山地訪問の基地として便利。
(送迎バスやガイドプランも用意されている)
(悪い印象)
◆部屋が画一的で面白みに欠ける。
(温泉を楽しむ庶民的なサービスが売りなのだろうか。
公共の宿のような感じで、贅沢好きには向かない)
◆僻地なので、行くには覚悟が必要。
同じ青森の竜飛岬や大間岬といった陸のはずれに行くのと
さほど変わらない僻地である。
◆売りの露天風呂による集客力が強く、宿の質およびサービスと比べると
宿代はやや高めに感じられた。
だから露天風呂が使えない冬期のプランは安いようだ。
息子には、大好きなサウナと水風呂があり、
またカラオケでは2時間熱唱もできて満足したようだった。
食事処で酔っ払っている私と友人を余所に、
沈み行く夕日もしっとりと鑑賞していた。
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ここ深浦まで物好きにもわざわざ来たのなら
世界自然遺産、白神山地の十二湖にある
『青池(あおいけ)』は見逃してはならない。
(十二湖=大小十二の湖を総称してそう呼ばれている。
実際には三十三の湖があるそうだ。
地殻変動の結果、水の流れが堰き止められて
今の姿になったと言われている)
この『青池』もあまりにも有名で、
テレビの旅番組や旅雑誌などの常連であるが、
その神秘的な姿は自らの目で確かめるべきであろう。
正に百聞は一見にしかず。
どんなによく撮れた写真よりも
実物は美しく、不思議で、奇跡である。
私は「宇宙の箱庭」といった印象を得た。
自家用車なら青池用の駐車場(有料)より徒歩600m。
JR五能線の十二湖駅からは青池行きの路線バスもまめに出ている。
野暮ではあるが、訪れた記念として下手な写真を掲載する。