旅の空色


やまのやど


 和歌山県、といっても地図上では三重県にある
日本全国でもめずらしい飛び地・北山村にある一軒宿。
(地図確認→和歌山県東牟婁郡(ひがしむろぐん)北山村

山深い地のこの宿をあえて選んだのは、
筏(いかだ)による川下り体験ができることと、
毎年8月中旬に行われる村のお祭りを見たかったからであった。

宿ホームページ→(外部リンク)http://okutoro.jp/

[筆者評]
 単刀直入に言おう。
部屋はまあまあだったが、後はダメだった。
私の感覚では、値段の割にはサービスが悪すぎた。

 部屋はHPに紹介されている「宿泊コテージA棟の1室」の
間取りのまんまのもので、広さとしては納得できるものであった。
宿泊棟はバンガロー風に長屋造りに建てられていて、
10畳のツインのベットルーム兼リビングルームに
6畳の和室とトイレと簡単なキッチンがあり、
小さなベランダと砂利の小庭に出れば、
山と緑に囲まれたこの土地ならではの清々しい空気に浸れるのは
とても好感が持てた。
ただ褒めれるのはそこまでだった。

 料理は一番いいコースのものを頼んだが、見栄えがいいのは
鮎の塩焼きと牛肉鍋くらいのもので、この山間の地にあって
郷土色というものが一切見当たらなかった。
HPには地元のおばあちゃんたちが作る
総菜バイキングコーナー云々と書かれているが、
看板に偽りありと言ったまんまで、食材はいかにも
既製品ばかりという印象しか受けなかった。
バイキングコーナーは宿泊者以外にも常時ひとり1000円で
開放されていて、その料金からしても足が見えるというものだ。
そんな具合だから、朝食も安宿にいかにもありそうなしょぼいものだった。

温泉も自慢と語っているが、
日中は立ち寄り湯として一般にも開放されていて、
利用客が多く、正直汚れが目立った。
宿泊客しかほとんど利用しない
また清掃後と思われる早朝のみが唯一、
温泉らしいくつろぎを楽しめるといっていいだろう。
湯はぬるめで単純硫黄泉という
(といっても硫黄臭さは感じない)。

 宿にとりわけ施設はなく、夕食を食べたらすることはない。
それは承知の上で、村のお祭りの日にあえてぶつけたわけであるが、
この日は午後から土砂降りの雨となって、お祭りは明日に延期と
なってしまい、当てが外れてしまった。
後は家族で「お前が雨男だ」とか「お前こそ雨女だ」とか
言い争うしかなくなってしまった。

 村のダム湖の湖畔の運動公園の一角にあるこの宿は、
この宿を中心として考えるよりも、運動公園の一施設として
捉える方がおそらくは正しいだろう。
運動公園にはテニス場や競技用トラックの他に、
貸しバンガローやキャンプ場があり、
その延長線上で、最上格の宿泊施設としての
「やまのやど」と見えなくもない。
にしても、このサービスにして大人ひとり17000円超の
基本料金は、私には割高に思えた。
しかもクレジットカードが使えない現金主義で少々慌てた。

(良い印象)
 宿としては上記のように良いとこなしであるが、あえて挙げれば‥
◇アメリカの人気ドラマ「ツイン・ピークス」を思わせる
 隔絶感と独特の雰囲気があると言えなくもない。
 「グレート・ノーザン・ホテル」の立派さとはとても比較にならないが。 
◇筏(いかだ)川下り体験をするには利便が良い。
 物好きにもここまで来たのなら、一度は体験すべし。
◇たぶん、大自然を楽しむには良いところなのかも。
 運動公園のあちこちに「マムシ注意」の看板があった。
(悪い印象)
◆こんな辺鄙(へんぴ)な地にも関わらず郷土色がない。
 せいぜい柑橘類の”じゃばら”ジュースくらい。
◆値段と触れ込みの割に、夕食も朝食はさらに見栄えが悪い。
◆運動公園の管理もあまり良いとは言えない。
 
息子にも大変不評の宿であった。
「これははずれだな」っと、さらりと言われた。
せめて夏祭りがあれば挽回できたかも‥。

但し、「筏川下り」は醍醐味があった。
息子にも嫁にも好評であった。
「筏川下り」はわざわざ泊まらなくても体験できる。
しかし繁忙期があるので、予約が賢明である。

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この場の写真を探したが、全く撮ってなかった。
我が家においては、歯牙にも掛けないレベルであったようだ。