旅の空色


中沢ヴィレッジ


 群馬県草津温泉にある大型リゾートホテル。
安い料金で様々なレジャーと食事を用意している。

宿ホームページ→(外部リンク)http://0932.jp/

[筆者評]
 春の旅行として利用。
家族3人と従兄弟のたっくんの4人で泊まった。
ウイング館和洋室(約50u)を使用。
大人一泊一人2食付き1万3千円。

このホテルの最大の特徴は
様々なレジャー施設を用意していること。
施設内には大型の室内温水プール
(暖かい時期は屋外プールもある)に
ボーリング場、卓球、ビリヤード、カラオケなど。
また屋外には広い敷地と周りの自然を活かして、
テニスコート、パターゴルフ、アーチェリー、
釣り堀、遊び広場に遊具などなど、
子供を飽きさせない遊びの王国といった感じだ。
ただちょっとケチをつければ、
建物や施設の老朽化が著しい。
またプールはともかく、
その他のものはメンテナンスが悪く、
卓球などは傷んだ台が1台しかなかった。
ボーリングのレーンも傷みが目立ち、
オイル塗りが雑で、ボールは曲がらない。
(以前ボーリング場でバイトした経験があり、
そこのところは少し知識がある)
子供たちが喜べば‥と思えれば
我慢できる範囲か。
本格派には向かない。

部屋は値段の割には広めで、
使った和洋室はセミスイートと言ってもいい感じだった。
他にも一般的な洋室ツインタイプから、メゾネットタイプ、
さらに広い和洋室にジャグジーの付いたものや、
戸建て風コテージにマンション風ヴィラなど
多彩な部屋が用意されている。

夕食は家族連れが多いので
バイキングが主流のようだ。
しかし私たち家族は子供たちに
テーブルマナーを教えるために
あえてフレンチのフルコースとした。
まあ食材は取り立てて変わったものは出ないが、
コースとしてはちゃんとしたもので、
給仕の数も多く、また小学生用も
ほとんど大人と変わらない内容で
好感が持てた。
もちろん食事に合わせてナイフとフォークも
一通り並んでいて、子供たちにはとても勉強になった。
またグラス売りでワインが5種類から選べて
酒好きの私には食事に華を添えた。

温泉大浴場も自慢できるものだろう。
草津・湯畑の源泉を引いたもので、
いかにも体に効くといった感じの
効能が豊かそうな熱めの湯である。
ただ子供には強過ぎるかもしれない。
あと湯質の影響で、浴場はすべり易い。
別室に草津特有の時間湯を行うための
木造りの特殊な湯船がある。
時間湯とは、「草津よいとこ〜、一度はおいで」と
みんなで例の草津節を歌いながら、
長い板で熱い湯をかき回し、
湯がちょっとゆるくなったところで、
まず湯をかぶり、少しずつ体を湯船に沈めて、
3分ほどで上がるといった具合の
草津温泉の効能を最大限引き出す
集団入浴法である。
これを体験できる施設はあまりないそうだ。

宿泊中、常連だという家族と少し話す機会があったのだが、
ホテルの会員に登録すると、どうやらさらに安く、
1万円ほどで泊まれるそうである。
その家族は送迎バス付きのプランで
よく利用しているとも言っていた。

そうそう、私たち家族が訪れたのは
東京では桜が満開の4月始めであったのだが、
ここ草津は標高1200mほどの高さがあり、
4月でも降雪はめずらしくない。
実際、宿泊翌日の朝、かなりの降雪があって
ノーマルタイヤだった我が家は動けなくなってしまった。
(草津はところどころ急な傾斜道があり、危険である。
ちなみに子供たちはもう一泊できるの?と大喜びだった。ばかな)
幸い雪は昼までには溶けて、難なく帰ってこれたが、
当初はかなりびびり、あせった。
(この経緯は平成20年4月のコラムに書いた。
コラムは後日掲載予定)
雪の降る時期はホテルの送迎バスサービス(有料)を
利用するのも賢い選択かも。
(そんな時用に鎖チェーンを貸してくれる業者もいる。
山を下ったところに回収ボックスがあり、そこで返却する。
1回5000円くらい)

(良い印象)
◇いろいろ遊ぶ施設があって、子供は大喜びだ。
◇値段の割には部屋も大きめで、お得感がある。
◇食事もちゃんとしたフルコースで満足感が高い。
◇温泉大浴場は草津でも指折りの施設だ。
(悪い印象)
◆レジャー施設の老朽化が目立ち、本格派向きではない。
◆寒い時期は、特に雪の時は、外の施設は使えない。
 (スキーにはもちろん向いているが)
◆自家用車の場合は雪に要注意!
 
息子にはプールを始め、卓球、ビリヤード、ボーリングに
ゲームコーナー、夜のビンゴ大会と遊びが盛りだくさんで受けが良かった。
ただ一巡すると飽きてくるので、特に冬期は1泊で十分かも。
夏期の方が使える施設も多く、周りの観光もし易いので、
多少値段が上がっても利用にはベストだろう。

ひとつ戻る

ほころびが見えるとは言え、
なぜこれだけ施設の揃った大型豪華ホテルが格安なのか?
気になって後日調べてみると、
この「中沢ヴィレッジ」は2009年4月に一度倒産し、
現在民事再生法に則り経営再建中だとわかった。
1967年の創業以来、一時は豪華なホテルや
会員制マンションで話題になったものの、
次々に施設を増築した投資が膨らみ過ぎて、
ツケ(負債)を払えなくなったようだ。
つまりはツケの棒引きで、豪華な施設はタダみたいなものとなり、
(実際はタダまではいかないだろうが‥)
その分値段を安くできて現在の形になっているらしい。
まあそんな経緯なので、
逆によっぽど儲かるシステムにしなければ、
大きな追加投資は認められず、
それゆえ建物や施設の大きな修繕ができないみたいだ。

まあ、利用者から見れば安いに越したことはないだろうが。

器が大きすぎて直すのにも金が掛かるし、
部屋の稼働率を高めるためには薄利多売に成らざるを得ないし、
一度信用破綻しているので新たな資本の調達は難しいだろうし、
厳しい時代なので、そう易々と路線を変えたり、
冒険はできないだろうし、
よい形で再生を果たすことを願う限りだ。